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谷晃生が東京五輪で学んだ代表GKの重み「日本のゴールを守ることがどういうことか理解できていなかった」 (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 それは昨季、ベルマーレでリーグ戦25試合に出場し、6連敗を2度経験したことで、考えさせられたことでした。どうしたらチームが勝ち点を拾えるか。どうしたらチームを勝たせることができるのかと......」

 その言葉を聞き、「GKがチームを勝たせることはできますよね」と問いかければ、谷は「できます」と即答した。

「自分はGKの役割を大きく捉えていて、たとえばショートパスひとつにしても、ロングキックひとつにしても、蹴るのか蹴らないのかという判断も含めて、チームが機能しやすいように働きかけるのがいいGKだと思っています。

 派手なセービングを見せることも、GKの魅力のひとつだとは思います。でも、GKとしては自分からスタートしたパスがゴールにつながったり、そのタイミングでパスを出したりすることに大きな意味がある。それだけGKは、チームに大きなものをもたらすことができるんです。

 GKが目立つ試合というのは、チームにとっては決していいことではないですよね。だから、僕は止めるだけがGKじゃないと思っていますし、もっと自分の仕事の幅を広げていきたい」

 止めるだけがGKではない----。その言葉をこちらがつぶやくように繰り返すと、谷はさらに持論を展開してくれた。

「自分としては、すべてを止められるGKが一番いいGKだとは思っています。すべてのシュートを止めることができるのであれば、キックがうまくなる必要もないし、つなげなくてもいい。でも、実際、GKひとりですべてのシュートを止めるのは不可能です。

 だからこそ、プラスアルファで、チームのために貢献できることが一番だと思います。ただし、GKとしてはシュートを止めるという部分をおろそかにしてはいけないと思うので、そのバランスはすごく難しいですけどね」

 日本代表としてW杯最終予選を戦うことで、さらに刺激を受けている。東京オリンピックで日本のゴールマウスを守った経験と責任は、彼を大きく成長させてくれた。

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