松木安太郎流、サッカー解説の心得。オーストラリア戦はネガティブを排除し「応援目線」 (2ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro

「サウジアラビアに負けたことで、グループリーグ上位2カ国に入って本大会出場権を手にするパーセンテージは下がったけれど、なにも不可能になったわけではないんです。オーストラリア戦を含めて、あと7試合が残されている。たしかにもうあとがない状況だけれど、だからこそネガティブな要素は排除して、日本代表のポジティブな面に目を向けてオーストラリア戦を伝えたいと思っています」

---- 松木さんがサッカー解説をするにあたって心がけていることは何でしょうか。

「テレビ画面に映っているものを重視するっていうことですよね。スタジアムにいる観客にはピッチもベンチも見えていますが、テレビを観ている方には画面に映るものがすべて。映像と解説をリンクさせるように心がけています」

---- なぜですか?

「テレビで中継される日本代表戦というのは、特段サッカーに詳しくない人たちも観ます。『日本代表戦があるのか。それなら今日は応援するか』というスタンスの方たちに、サッカーのおもしろさをどう伝えるかとなると、なるべく画面に映る映像と解説者が話している内容が一致しているほうが楽しみやすいと考えているからなんですよ」

---- そこでの苦労を教えてください。

「いろいろあるのですが、今起きていることとリンクさせようとすると、発言しようとした話が試合状況のタイミングと合っているかを考えなくてはならないことですよね」

---- 話すタイミングではないと思ったら、どうされるのですか?

「それは発言しません。次にタイミングがあれば話しますけど、『今、この時』を逃した話は、視聴者が試合を観るのを邪魔するだけなので」

---- マラソン解説の増田明美さんとは真逆のスタンスですね(笑)。

「アハハハ。増田さんはいろんな情報を持っていらっしゃる方ですし、マラソンという競技の特性を考えれば、むしろたくさんの情報を視聴者に提供するのが適していますし、それが重要だと思いますよ」

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