中村憲剛と佐藤寿人の五輪総括「前田大然をなぜ前で使わなかったの?」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

---- スペインとの差はどのあたりに感じましたか。

中村 (田中)碧のコメントに集約されているのかなと思います。日本はまだ1対1、デュエルの話をしているけど、彼らはそこは当たり前のようにやっていて、グループのところで戦っている。みんなサッカーを知っていて、日本は知らなすぎるというようなことを言っていたんです。

 それはおそらく、スペインやメキシコと対峙した時に彼らから感じたことで、ゴールを奪う、ゴールを守る時に、個でもグループでもどうプレーすれば成功する確率が上がるかを彼らは正しく判断できるという意味で、今の日本はそれと比較するとどうなのか、という言葉だったと思います。

 グループリーグでは結果を出せたけど、試合を重ねるにつれて疲弊していくなかでも、正確な判断を個々で下せればもっとよくなる、という想いがあったんじゃないでしょうか。

佐藤 それは見ていて、僕も感じましたよ。もっとシンプルに周りを使えばいいのにって。それが日本のよさでもあったけど、時にはウイークにもなっていましたね。

 得点を奪うというところで言えば、グループリーグでは形も含めて、とるべくしてとったと思います。ところがニュージーランドのように守られると、途端に崩せなくなってしまう。それを打開する術(すべ)をあまり持ち合わせていなかったのかなと思います。

---- 決勝トーナメントでは3試合で1点しか奪えませんでした。

佐藤 レギュレーションが変わったのは、日本にとってプラスだったと思います。結果的に22人登録できて、ケガを抱えていた上田に代わって、本来はバックアップだった林大地をFWの1番手として起用できましたから。

 ただ、難しいなと思ったのは、上田を含めて、森保監督が期待していた選手のコンディションがなかなか上がらなかったこと。林はよくやったと思いますけど、彼をどこまで引っ張るか、というところのジャッジが相当難しかったと思います。

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