福田正博が考えるサッカー五輪代表の課題2つ。高校サッカーのある「姿勢」も取り入れてほしい (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by JMPA

 決して簡単な相手ではなかったが、グループリーグ3試合をいい形で勝ち進み、決勝トーナメントにも余力を残して臨めた。それだけにロンドン五輪のときよりもメダルへの期待感が膨らんでいたのだが...。

 準決勝のスペイン戦は、延長終了まで残り5分での失点が致命的だった。だが、このシーンだけを取り上げて「集中力が足りなかった」などと論評する気はない。それ以前の115分間をどう戦っていたか。

 この試合は開始当初から一方的と言えるほど押し込まれた。この展開で引き分けに持ち込むのは難しいし、よく115分間も我慢したと思う。あと5分間耐えるために必要だったものがあるとすれば、日本は序盤からもう少しスペインが守備も意識する戦い方を模索すべきだったのかもしれない。

 ただし、言うのは簡単だが、実際にやるのは難しい。相手に守備を意識させようとジャブを打ちに前に出たところを逆に突かれれば、失点のリスクは高まる。

 それでも、この敗戦から言えるのは、日本サッカーはもう少しボールを持つ技術を身に着けないといけない。スペインは、ボールを奪われれば素早くプレッシャーをかけてきた。日本はそのプレッシャーを怖がって、丁寧にボールをつなぐのを諦め、前に送ったパスからボールロストするシーンが多く見られた。

 そこでボールをつなげれば、カウンターにも結びつけられたし、相手を引かせることもできただろう。しかし、日本の技術力は高まってきているものの、相手から強烈なプレッシャーを受けると、それは発揮できなかった。

 3位決定戦でのメキシコ戦は、グループリーグで対戦したときと真逆の展開になった。グループリーグでの勝利でメキシコを格下と捉える人が多かったが、紛れもなく格上国だ。そうした相手に格下の日本がミスをして早々に失点しては、勝機を見出すのは難しい。

 この試合で感じたのは、セットプレーの攻守でもっとバリエーションを用意しておいてほしかったことだ。失点はすべてセットプレーから。攻撃でも事前に用意してきた策が見られたのは、旗手玲央がペナルティーエリア手前でボールを受けてシュートを打ったシーンくらい。ショートコーナーを使うなどの工夫は見られたが、それだけでは足りなかったと思う。

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