2021.07.07

日本代表、南アW杯でオランダに完敗。本田圭佑にそのオランダの水が合っていたのはなぜか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

日本代表が強豪国と戦う時(8)~オランダ
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「考え方は合理的だが、性格はこだわりが強く頑固」

 欧州におけるオランダサッカー界の人物への評価である。選手も監督も共通して、この表裏一体の特徴で語られる。つまり、見方によってはどちらにも映るのだろう。

 例えば名将ルイス・ファン・ハールは、戦術家として知られている。その戦い方は極めて理にかなっていた。しかし、不遜なほどの自信を隠さず、周囲との衝突が絶えなかった。バルセロナ監督時代は、リーガ・エスパニョーラを連覇しながら、まるで愛されていなかった。アヤックス監督時代に手塩にかけた選手を多く引き抜いた当時のバルサは合理的だったが、「複製品で勝ち誇っている」と嫌悪されたのだ。

 ともあれ、優れたものを見抜き、効率を重んじ、偏見なく取り入れられる自由な気風がオランダなのだろう。

 だからこそ日本人サッカー選手は受け入れられ、力を引き出された。本田圭佑、吉田麻也が飛躍を遂げ、現在も堂安律(PSV)、板倉滉 (フローニンゲン)、菅原由勢 (AZ)、中山雄太 (ズヴォレ)が在籍。オランダは今も昔も、日本人の海外進出の大事な港だ。

 オランダサッカーは、日本に何を指南するのか?

南アフリカW杯、1-0で敗れたオランダ戦に出場した日本代表の本田圭佑南アフリカW杯、1-0で敗れたオランダ戦に出場した日本代表の本田圭佑 この記事に関連する写真を見る  2010年6月、ダーバン。南アフリカワールドカップ第2戦で、日本は過去に勝ち星のないオランダに挑んでいる。この大会でもファイナリストになる強豪相手だけに、苦戦は必至だった。

 とはいえ、日本は弱気を見せてはいない。前線からの守備で極力、相手に自由を与えず、何より中澤佑二、田中マルクス闘莉王のセンターバックとアンカーの阿部勇樹が真ん中を固め、ダメージを最小限にしていていた。それ以外のポジションの選手も激しく応戦した。
ただ、じりじりと押し込まれていく。

 オランダには、ブラジルのような即興性はない。しかしコレクティブな動きで無駄がなく、精度が高く、そのための技術や体力が練磨されている。それが組織の機能美のように映り、凄みになるのだ。