日本代表が5連戦で手にした4つの収穫。攻撃陣の充実ぶりが頼もしい

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

福田正博 フットボール原論

■5月末からW杯予選を含めた5連戦を戦った日本代表。長期間の合宿で多くの収穫があったが、解決できない課題も残った。この先のアジア最終予選を前に、現状を福田正博氏に分析してもらった。

日本代表で圧倒的な存在感を見せた鎌田大地日本代表で圧倒的な存在感を見せた鎌田大地 5月28日のW杯アジア2次予選ミャンマー戦から始まった日本代表活動も、6月15日のキルギス戦でひとまず終了となった。代表選手たちが20日近くの時間を共有できたことは、今後のW杯最終予選や、来年のカタールW杯本大会を見据えれば意義深いものになったはずだ。

 この期間にW杯アジア2次予選の残っていたミャンマー戦(◯10-0)、タジキスタン戦(◯4-1)、キルギス戦(◯5-1)と、U-24日本代表(○3-0)やセルビア代表(○1-0)とのテストマッチを行なったが、いくつかの収穫と課題があった。

 まず収穫について言えば、当初もっとも注目していた「南野拓実(サウサンプトン)と鎌田大地(フランクフルト)の共存」は、不安を一掃してくれた。

 左サイドで起用された南野は、チャンスメークよりもフィニッシャーとして魅力がある選手。3月の代表戦では中央に入ってきて、鎌田とポジションがかぶる場面もあったが、今回の代表戦では両選手が適度な距離感を保ちながら、南野はシュートを打てる位置を見つけ出していた。

 鎌田は、トップ下での存在感が圧倒的だ。日本代表においては遠藤航(シュツットガルト)の存在感がスペシャルなものになってきたが、鎌田にも同じものを感じた。彼を経由せずに攻撃は成り立たないと思わせるほど、違いを生み出している。

 所属するフランクフルトでのプレーぶりもそうだが、彼がボールを持つ姿には常に余裕が感じられる。テクニックにすぐれ、フィジカルでも屈強な外国人選手に当たり負けしない強さがあるためだが、その余裕が味方としては頼もしく、ボールを預けやすいのだ。

 ゴール前で「もう少し貪欲にシュートを狙ってもいいのでは」と歯がゆく感じるシーンもある。ただ、そういう場面でラストパスを選択するのが彼のパーソナリティーであり、プレースタイル。それを周りの選手たちも理解しているため、鎌田がペナルティーエリア内でボールを持っても、最後までスルーパスが来る準備をしているのは心強い。

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