OA効果で久保と堂安は共存OK。だが五輪代表には課題が2つ残っている

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

福田正博 フットボール原論

■オーバーエイジ(OA)が加わり、3つのテストマッチを戦ったU-24日本代表は、6月22日に東京五輪18名のメンバー発表を迎える。約1カ月後の本番に臨むチームの、今回の出来はどうだったのか。福田正博氏に評価してもらった。

久保と堂安のコンビネーションなど、右サイドの攻撃が目立ったU-24日本代表久保と堂安のコンビネーションなど、右サイドの攻撃が目立ったU-24日本代表 東京五輪を戦うU-24日本代表は、6月3日の日本代表戦に0-3で敗れたものの、5日のU-24ガーナ代表戦には6-0で圧勝。12日のジャマイカ代表戦も4-0で完勝した。

 この3試合を含めた合宿期間は、OAに決まった吉田麻也(サンプドリア)、酒井宏樹(浦和)、遠藤航(シュツットガルト)と、24歳以下の選手たちが融合するための、貴重な時間になったのは間違いない。

 冨安健洋(ボローニャ)、堂安律(ビーレフェルト)、久保建英(ヘタフェ)、板倉滉(フローニンゲン)、中山雄太(ズヴォレ)などは、すでにA代表でOA3選手と一緒に活動した経験があるが、それ以外の選手たちにとっては初めてのこと。今後の飛躍の種となる新たな気づきを得たのではないかと思う。

 この3試合は五輪代表メンバー入りをかけた最後のアピールの場だった。すべての選手をメンバーに選んであげたいのが人情だが、五輪代表はOAを含めて18枠しかない。チームの骨格がある程度は決まっているなかでは、実質的に選考対象だったのは3〜4選手だったのではないか。

 それでも、この3試合の選手起用からは、森保一監督のメッセージが込められているように感じられた。「東京五輪は通過点。ここから先も見ているから来年のW杯に向けてしっかり成長をつづけてくれよ」と。

 そう思ったのは、単に五輪代表を決めるだけなら、もっと割り切った起用法ができたからだ。自国開催の東京五輪での成功だけを見据えれば、限られた時間を有効に使うためにメンバーを固定して、チーム強化を主目的にしたマネジメントが近道だ。

 しかし、森保監督と横内昭展監督代行はそれをしなかった。招集した選手全員を起用して特性を試し、新たな可能性を模索した。それは森保監督の目線が「ゴールはW杯」ととらえているからだろう。

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