魅力的だった日本代表の右サイド。海外組と国内組の差はなくなった
キルギス戦。それにしても森保一監督は、なぜオナイウ阿道(横浜F・マリノス)に代えて佐々木翔(サンフレッチェ広島)を投入したのだろうか。後半23分。ハットトリックを決めた選手を下げるには早すぎだ。前線の選手を1枚削って、5バック気味にする相手でもないし、試合展開でもない。
この交代以降、日本はさらに2ゴールを追加した。佐々木自身も、CKから代表初ゴールとなるヘディングシュートを決め、気を吐いている。しかし、それを機に日本代表のサッカーは面白くなくなった。それまで垣間見ることができた、いい感じのサッカーが、姿を消すことになった。
キルギス戦でハットトリックを達成したオナイウ阿道 それまで日本のサッカーが魅力的に見えたのは、ピッチの右半分だった。そこで展開されたのは、俗っぽい言い方をすれば、パスで崩すサッカーだ。右サイドバック(SB)山根視来(川崎フロンターレ)と、その前で構える坂元達裕(セレッソ大阪)、それに守備的MFの守田英正(サンタクララ)、川辺駿(広島)、そして1トップとして初先発したオナイウ阿道らが絡む、ドリブルをまじえながらのパスワークである。
多少線は細いが軽やかで、意外性にも富むそのパス交換は、日本のサッカーのあるべき姿を示唆しているように見えた。坂元を同じ左利きの家長昭博(川崎)に見立てれば、川崎のサッカーを彷彿とさせた。
ゴールまでのルートが見えている立体感溢れるサッカー。その2つ先のプレー、3つ先のプレーに、シュート、あるいは決定的なシーンが待ち受けていそうな、期待感が無性に込み上げてくるサッカーだ。
山根と小川諒也(FC東京)の左右のSBを比べるとわかりやすい。山根にはパスコースを含むプレーの選択肢が複数存在していた。それが、プレーに余裕をもたらしていた。左サイドはそうではなかった。小川はその前で構える浅野拓磨(無所属)らと、うまくコンビネーションを築けずにいた。ひとりで何かを背負い込んでいるような感じで、単独プレーに陥りがちだった。ミスが多かった理由である。
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