森保ジャパンのセルビア戦を数字で分析。ビルドアップには苦戦、相手3バックの守備には成果も (3ページ目)
◆伊東純也は「当確」なのか。久保建英、堂安律...競争激しい右サイド>>
その要因の一つは、相手が見せたビルドアップ封じに、日本が苦しめられたことだ。
日本がセンターバック(CB)からビルドアップを始める時、セルビアは1トップとシャドーの1人が日本の2人のCB(植田直通、谷口彰悟)をマークし、もう1人のシャドーが下がって日本のダブルボランチの1人をケア。日本のもう1人のボランチに対しては、セルビアのダブルボランチの1人(主に16番)が前に出てパスコースを封鎖するかたちをとった。
そこで、日本は両SBを経由して前進を試みようとするが、そこには相手の両ウイングバックが待ち構えるうえ、前線の鎌田には相手のボランチの1人が、伊東と南野には相手の2ストッパー(5番、2番)が、そして1トップの古橋には3バックのセンター(13番)がそれぞれマーク。フィールドプレーヤー10人全員がマークされるかたちになったため、スムーズなビルドアップができない状態に陥ったのである。
前半はアンストラクチャーな局面が多かったため、セカンドボールに対する寄せが速かった日本がボールを保持する時間が長くなったが、決して多くのチャンスをつくれたわけではなかった。
実際、前半23分の鎌田の直接FK(足を滑らせてシュートが壁に当たったシーン)を除けば、日本が放ったシュートは、33分に伊東が見せたカットインからの左足シュート1本のみ。
逆に、セルビアは前半最後の15分間でボール支配率を53.9%にまで挽回し、シュート数も日本を上回る3本を記録。そのうち44分のシュートシーンでは、日本の谷口が自陣深い位置から南野に入れた縦パスを5番(ウロシュ・スパイッチ)に狙われ、ショートカウンターから決定的なチャンスを許してしまった。
幸い、18番(ミラン・マカリッチ)のシュートは枠を外れたが、セルビアのレギュラークラスのFWであれば、日本が失点していた可能性は高い。
結局、前半に日本が記録した敵陣での縦パスは19本。クロスについてはわずか4本で、左サイドからは長友佑都が1本を記録しただけ。日本が優勢だったとは言いきれない内容だった。
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