森保ジャパンのセルビア戦を数字で分析。ビルドアップには苦戦、相手3バックの守備には成果も

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 試合前日の会見で、森保一監督が「我々が世界で勝っていく基準を確かめて、(それを)測るには最高の対戦相手だと考えています」と語っていたセルビアとの親善試合は、後半に入った48分にコーナーキックから決めた伊東純也のゴールにより、日本が1-0で勝利を収めた。

3バック相手への守備対応で、一定の成果を見せた森保ジャパン3バック相手への守備対応で、一定の成果を見せた森保ジャパン ただ、試合後の会見で、今年2月からセルビアを率いるドラガン・ストイコビッチ監督が「今回のメンバーはとくに攻撃陣に若手を連れて来ていたので、結果ではなく内容を見た」とコメントしたように、セルビアは多くのレギュラーメンバーを欠いた編成。
森保監督の期待どおりの試合にはならなかったというのが、実際のところだろう。

 しかし、W杯アジア最終予選とW杯本大会に向けた森保ジャパンの強化プロセスを見ていくうえで、この試合で抑えておくべきポイントがある。

 その一つが、3バック(5バック)システムを採用する相手と対峙した時の守備対応だ。

 3バックの相手に対して前線からの守備がはまらず、苦戦を強いられたのは、2019年アジアカップ決勝のカタール戦(1-3で敗戦)が代表的なケースだ。その試合では、カタールの3-5-2(3-3-2-1-1)に対し、日本は4-2-3-1で対抗。守備時に4-4-2の立ち位置に変える、定番のシステムを採用した。

 しかし、相手の最終ライン3枚に対して日本の前線2枚(1トップの大迫勇也とトップ下の南野拓実)のスライドが間に合わず、相手の最終ラインからのビルドアップを簡単に許した。もちろんそれだけが敗因ではないが、前半の2失点後に大迫がベンチに駆け寄り、森保監督と話し合ったシーンは、その混乱ぶりを象徴していた。

 そして今回のセルビア戦前に、森保監督自身が「我々が基本とする4バックで、相手が4バックでも3バックでも柔軟に戦えるかどうかを見ながら、状況によってかたちを変えることも考えたい」とコメントし、"対3バックの守備対応"が、試合の見どころの一つとなった。

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