伊東純也は「当確」なのか。久保建英、堂安律...競争激しい右サイド

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 6月11日、神戸。セルビア戦の70分を過ぎた頃、伊東純也は右サイドのタッチライン際で、もんどり打って倒れている。セルビア代表ディフェンスのやや暴力的なチャージを受けていた。明らかに焦燥に駆られた末のプレーで、伊東はそれだけ相手を追い込んでいたのだろう。

 この日、伊東はセルビアに悪夢を見せていた。並走した瞬間、燃料を爆発させるように一気にスピードが増す。エンジンパワーの違いで相手を絶望させた。

 微妙なオフサイドの判定でオナイウ阿道の「幻のゴール」になったシーンも、伊東はカウンターから右サイドでボールを受けて爆走。中の動きを見計らって、ほぼ完璧なクロスを流し込んでいる。圧倒的なスプリントをアドバンテージにし、右サイドに翼を与えていた。

 カタールワールドカップ最終予選を戦う森保ジャパンの右アタッカーは、伊東で当確なのか?

セルビア戦に先発、唯一のゴールを決めた伊東純也セルビア戦に先発、唯一のゴールを決めた伊東純也 セルビア戦で伊東は、勝利につながる虎の子の1点を決めている。

 いわゆるクラシックな右のウイング的なタイプだが、現代的な性格を持ったアタッカーでもあり、ゴールに対するアプローチが単純明快で、左サイドで作ったボールに合わせてゴールを仕留められる。得点は右CKを谷口彰悟がニアでそらしたボールをファーサイドで蹴り込んだ。ポイントに入り込める得点感覚があるのだ。

 かつてアルベルト・ザッケローニは、左に香川真司を置いてボールの起点とし、ゲームを作りながら、右サイドの岡崎慎司をポイントゲッターにした。選手の特性は少し違うが、今の森保ジャパンの論理もそれに近いものがある。左に10番の南野拓実を配置し、そこに起点を作りながら、右からの強烈な一撃で相手をノックアウトする志向だ。

 その点で、右サイドで右利きのスピードスター、伊東は最適な選手と言える。タッチラインに立てば幅を作れるし、裏を狙えば深みを作り出せる。この日も、中に切り込んで左足で強烈な一撃を放っているが、"縦だけ"ではない。そして何より、左で攻撃を作った時のフィニッシャーともなれるのだ。

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