日本代表右SBとボランチの競争が激化。山根視来と橋本拳人に存在感 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 酒井、室屋とはまたタイプの異なる右SBだ。パスが出せるうえに、間も取れる。川崎で替えの効かない右SBとして今季、フルタイム出場を続けている自信を垣間見た試合でもある。右SBのポジション争いは、これで俄然、面白くなったと見る。

 一方、左SBは、佐々木翔(サンフレッチェ広島)が先発した。広島ではSBではなくセンターバック(CB)でプレーする31歳のベテランを、森保一監督はなぜ左SBとして呼び続けるのか。理解に苦しむが、それはともかく、このポジションの一番手は長友佑都(マルセイユ)だ。

 この日の佐々木は、小川諒也(FC東京)と2番手争いを強いられている状況を反映するかのようなプレーをした。右の山根より積極的に前に出た。「CB的な選手と言われたくない」という思いが滲み出るような積極的な姿勢だったが、その割に、左サイドからの攻撃は機能しなかった。

 佐々木にとってアンラッキーだったのは、ひとつ前の列でプレーする原口元気(ウニオン・ベルリン)が、コンビネーションプレーを得意にする選手ではなかったことだ。単身で勝負したがる、悪く言うならば、独りよがりなドリブラー。左サイドの攻撃が単調になる原因はそこにあった。

 タジキスタンに1-1にされた後の30分余り。日本の攻撃はなぜ滞ったのか。見えてくるのは、SBとウイング(4-2―3-1の「3」の左右)とのコンビネーションなのである。

 山根と古橋の関係も、決してよくなかった。原因は古橋のポジショニングにある。山根がサイドでボールを保持したとき、縦に入ることはまずない。2人がタッチラインと並行になり、三角形(パスコース)の底辺を形作るケースはほぼなかった。古橋は、得点という結果を残そうと焦ったのか、内へ内へと入った。古橋の折り返しを南野が決めた2点目も、内に入り込んでいた古橋の鼻先にパスを送った山根のパスセンスなしには、決まっていなかった得点だ。構造的な問題を、山根の1本のパスが解決した格好だ。

 古橋は後半、4-2-3-1の「3」の左に回ったが、ここでも同じようなプレーに終始した。佐々木、そして交代で入った小川を悩ませる動きをした。持ち前の走力で活躍したかに見えるが、相手のレベルが上がったとき、どうなのか。同じスピード系ならば、古橋より伊東純也(ゲンク)に一日の長があると見る。

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