田中碧が五輪でA代表ユニットとプレーすることの真のメリットとは (2ページ目)
この試合、MF相馬勇紀、MF三笘薫、FW上田綺世といったJリーグ組の選手たちには、多少なりとも普段の力が発揮できない様子が見られた。日常とは異なる相手選手の間合いやパワーに戸惑っていたところがあったのかもしれない。
ところが、田中からはそうした印象をまったく感じなかった。
もはや東京五輪でのメンバー入りは間違いなし。五輪の登録メンバーは18人と狭き門だが、ケガなどのアクシデントさえなければ、田中には関係のない話だろう。
むしろ本当に期待すべきは、東京五輪よりもっと先にあるのではないか。ガーナ戦を見ていて感じたのは、そんなことだった。
東京五輪に出場する日本のDFラインには、右から酒井宏樹、吉田麻也、冨安健洋と、4バックのうちの3枚にA代表の主力が並ぶ。さらにDFラインの前にはボランチの遠藤航が据えられ、田中の周囲はA代表のユニットがそっくり"移植"された状況になる。
「(遠藤航は)日本で一番のボランチなので、隣でプレーさせてもらって幸せ。学ぶものは多い」
何より大きいのは、田中が語っているように、遠藤航とのボランチコンビを確立できることだ。田中は「日本一のボランチ」に一目置きつつも、「ライバルでもあるので、自分もしっかり違いを作っていければいい」と貪欲な姿勢も見せている。
東京五輪本番までにいくつかの強化試合をこなし、本大会では最大6試合をこなす。年代別代表にいながらにして、実戦を通じたA代表のシミュレーションができる意味はとてつもなく大きいだろう。
8月半ばに東京五輪が終われば、田中がA代表に加わることになるだろうが、その時には何の違和感もなく遠藤航の隣でプレーできる状態になっているはずだ。
まだA代表経験がわずかな22歳が、五輪代表での活動を通して、A代表での序列を上げていく。そんな珍しい事象が恐らく起こる。A代表のボランチと言えば、今年3月の2試合で守田英正が新勢力として台頭してきたばかりだが、奇しくも昨季までは守田の同僚だった田中が、ポジション争いをさらに熾烈なものにするのだろう。
2 / 3