南野拓実はトップ下よりサイド? 俊輔や香川も経験した「10番の苦悩」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ゴールラッシュの口火を切る見事な先制ゴールを含め、2得点3アシストという目に見える結果を出した南野拓実(サウサンプトン)は、そのほかの得点シーンにも効果的に絡んだように、ナンバー10の役割を十分に果たしただろう。これで2次予選6試合連続ゴールである。その勝負強さも評価に値する。

 森保一体制発足時から攻撃の軸を担い続ける南野は、大迫勇也(ブレーメン)と並んでこのチームのエースであることに疑いの余地はない。ただもっとも、そのエースの活用法を指揮官はいまだ定められないでいるように感じる。

日本代表の10番を背負ってプレーする南野拓実日本代表の10番を背負ってプレーする南野拓実この記事に関連する写真を見る 森保監督を悩ませているのは、鎌田大地(フランクフルト)の台頭だ。

 ドイツでたくましさを増すこのアタッカーは、柔らかさと力強さを兼ね備え、バイタルエリアで起点となれるプレーヤー。中央でどんと構えてボールを引き出せるので、CBやボランチは躊躇なく縦パスを打ち込むことができる。そこからの展開力も持ち合わせており、攻撃の流れを生み出すには打ってつけの人材だろう。

 この鎌田の急成長により、それまでトップ下を主戦としてきた南野が左サイドに押しやられた格好だ。それが3月シリーズで導き出した、森保監督のひとつの答えである。

 今回のミャンマー戦でも、並びは同じだった。もっとも、過去に「トップ下が一番やりやすい」と語っていたように、南野はやはり中央でこそ輝きを増すタイプ。サイドに張る機会は少なく、中目のポジションを取り、ボランチとディフェンスラインの間に入り込んでボールを引き出すプレーを頻発した。

 懸念されたのは鎌田とのポジションかぶりだが、"渋滞"はさほど引き起こされなかった。

「大地や僕がスペースで受けて前を向ければ、チャンスになると感じていた。僕らふたりは相手のボランチとCBとの間のスペースをうまく使うタイプ。僕が外から入るか、大地が中から入るか。お互いがかぶらないように意識しながらできたと思う」

 南野自身がそう語るように、両者がお互いの位置取りを意識しながら、プレーイメージを共有していたことがうかがえる。

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