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日韓戦完勝の理由がわかる数字。「ボールの出口」を見つけた日本と失敗した韓国 (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 写真●代表撮影・日本雑誌協会

 とはいえ、同じ展開が後半もつづいたわけではなかった。日本が鎌田に代えて江坂任を投入したのに対し、リズムを変えたい韓国のパウロ・ベント監督が、ハーフタイムに3枚の交代カードを切り、流れを変えるきっかけとなった。

 ゼロトップ起用が不発に終わったイ・ガンインに代えて、1トップに本職センターフォワードの18番(イ・ジョンヒョプ)を投入すると韓国の前線に深みが生まれ、日本がコンパクトさを失ったことがひとつ。また、その影響で前半からハードワークをつづけた日本のダブルボランチが前に出てプレスをかけるシーンが減ったのも、リズムが変わる要因となった。

 ただし、2点差を考えれば選手が試合終盤までのエネルギーを計算するのは当然なので、それ自体に問題はない。

 いずれにしても、後半立ち上がり10分を過ぎた頃からしばらく韓国がペースを握り、日本陣内で試合が展開した。そのなかで、韓国が60分に佐々木翔のミスパスからチャンスをつかみ、11番(イ・ドンジュン)がシュート。これは枠を外れて日本は救われたが、その3分前にも韓国が右サイドの11番のクロスから5番がシュートを放っていたため、66分に森保監督は疲れの見える佐々木に代え、小川諒也を左SBに起用した。

◆日本が試合内容で韓国を圧倒した理由。その長所は接近戦でこそ活きる>>

 それ以降は、前掛かりの韓国に対して日本が自陣で守備ブロックを形成し、ボールを奪ったあとにカウンターを仕掛ける展開がつづいた。その象徴的シーンが、吉田が自陣ボックス内で蹴ったロングパス1本から途中出場の浅野拓磨が抜け出し、GKと1対1の決定機を迎えた81分の攻撃だった。

 後半に、日本が記録した敵陣での縦パスは5本に、自陣から敵陣への縦パスも8本に減少。前半は4人で17本を記録した吉田、冨安、遠藤、守田は、それぞれ1本のみ。後半最も多い自陣から敵陣への縦パスを記録したのは、終盤15分に3本を記録した右SBの山根視来だった。

 後半の日本は、自陣中央でボールをつなぐより、リードを保つべく安全第一のプレーを選択するように戦い方を変化させたことが、この数字からも見て取れる。

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