日韓戦完勝の理由がわかる数字。「ボールの出口」を見つけた日本と失敗した韓国

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 写真●代表撮影・日本雑誌協会

 国外クラブに所属する選手を加えたA代表としては、2011年8月10日以来、約10年ぶりの対決となった注目の日韓戦は、日本が3-0で完勝することに成功した。これで両国の通算対戦成績は、日本の14勝23分40敗となった。

前半の出来に差が表れた日韓戦だった前半の出来に差が表れた日韓戦だった 試合は、序盤から両チームの守備の狙いが見て取れるかたちで展開した。ただし、その精度の違いによって、結果的に両者の間には大きな差が生まれた。とくに前半、日本が韓国にほとんどチャンスを与えなかった主な要因はそこにある。

 まず、日本と同じ4-2-3-1を採用した韓国は、日本の前線からのプレスを回避すべく、主にボランチの一角を務める5番(チョン・ウヨン)がセンターバック(CB)の間、もしくは左サイドのスペースに落ちてビルドアップを試みた。それにより、日本のファースト・ディフェンダーとなる大迫勇也と鎌田大地は、韓国のCBにプレスをかけることができなかった。

 しかし、それができないとわかった日本は、CBの前で大迫と鎌田が的確なポジションをとり、もうひとりのボランチである16番(ウォン・ドゥジェ)へのパスコースを限定。同時に、両サイドバック(SB)へのパスコースは南野拓実と伊東純也がそれぞれ遮断した。それにより、「ボールの出口」を失った韓国のCBは、GKにバックパスするか、ラフなミドルパスを前線やサイドアタッカーに入れるという、苦しい選択を迫られた。

 あるいは、韓国が最終ラインから苦し紛れに16番にボールを預けた場合、そこに狙いを定めていた遠藤航、または守田英正が待っていたとばかりにプレッシング。日本は理想的なかたちで、高い位置からの守備を成立させることができていた。

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