2020.12.02

W杯予選に向けた日本代表の課題。監督の「駆け引き」の経験

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by JFA

◆森保ジャパンは流れをつかむ采配がない。日本ペースの時間帯は何分間?>>

 というのも、メキシコ戦のように混乱したまま試合を終えてしまうと、選手たちが次の試合に向けて「なにをどう改善すべきだったのか」の糸口を手にできないからだ。

「チームとして対応しようとしたが通じなかった。だけど、この部分はうまくできた」といった感触があれば、選手は足りない部分を伸ばす努力ができる。しかし、それがないと漠然と「個の力を伸ばそう」との結論だけになってしまいがちなのだ。

 もちろん、個の力は必要だ。しかし、何でもかんでも個の力を敗因にしていてはダメだろう。メキシコ戦で足りなかったのは個の力だけでなく、チーム全体としての柔軟性や臨機応変に対応する力だろう。そこを見誤っていては、どれだけ経験を積もうと改善されることはないように感じる。

 メキシコ戦の後半に苦しんだ要因は、相手に押し込まれてボールを奪い返しても、そのボールの預けどころを消されてしまって、再びボールを奪われて押し込まれたところにある。

 この状況を打開するためには、相手に囲まれながらもボールをキープし、味方がサポートに入れる時間をつくりださなければいけない。それをピッチの選手たちだけで改善できないのなら、監督が選手交代や布陣の変更などで解決策を提示すべきだった。

 押し込んできた相手を跳ね返すための有効な手段のひとつが、奪い返したボールを預けられる起点をつくること。そこでマイボールの時間が生まれれば、味方がラインを押し上げられるし、相手も引かざるを得なくなる。

 大迫勇也のように、DFを背負いながらボールキープできる選手を投入するのが有効だが、そういうプレーができる選手がいなければ、別の方策を考えるのもベンチの仕事だ。2トップにして相手DFの意識を分散させたり、サイドにボールキープの巧みな選手を入れて時間をつくったりなどの手立てがある。メキシコ戦ではそうしたものを見せてもらいたかった。