鷲見玲奈が名波浩に聞く日本代表戦。「日本はまだまだサッカー発展途上国」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 立松尚積●写真 photo by Tatematsu Naozumi

鷲見 そして、4日後に行なわれたコートジボワール戦では、1ー0で勝利しました。

名波 最初に総合的な評価をすると、内容はすごく濃いものがありました。しぶとさや粘り強さがチーム全体に浸透していたなと思います。ヨーロッパでプレーしている選手たちにしてみれば、対戦相手は普段から同じリーグでやっている選手だったり、チームメイトだったりするわけで、世界的な強豪相手でもビビることがない。そういうところは本当にたくましい。

鷲見 ヨーロッパ組ならではの強みですね。ダブルボランチの組み合わせは、カメルーン戦の柴崎岳選手(レガネス)と中山雄太選手(ズヴォレ)から、この試合では、柴崎選手と遠藤航選手(シュトゥットガルト)になりました。

名波 この2試合だけを比較するなら、遠藤と組んだときの柴崎のほうが生きた、という感じはします。遠藤はセカンドボールを拾って、迷わずシンプルに、しかも確実に味方へつなぐ作業を淡々とやっていました。そのおかげで、柴崎もわかりやすく(攻撃に)顔を出すことができた。お互いの立ち位置が、必ず斜めや前後の関係になっていたので、そこでのアングル作りが、初戦では少なかった縦パスを入れやすい状況を生み出したと思います。

鷲見 1トップも、カメルーン戦で先発出場した大迫勇也選手が所属クラブ(ブレーメン)の事情で離脱したため、コートジボワール戦では鈴木武蔵選手(ベールスホット)が先発出場しました。このふたりには、どんな違いがありますか。

名波 簡単に言えば、大迫は一回(縦パスを)つけて落として、という出し入れが必要なタイプ。武蔵は一発のパスで(相手DFラインの)裏へ(ボールを)落としちゃえば、走力があるから競争できます。

鷲見 鈴木選手らしさも出ていましたね。

名波 でも、大迫だったら、もう少しいい姿勢でボールをキープできていたと思います。ボールを受けるまでのプロセスはいいとして、そこから味方につないで、次のプレーに移るというところに、武蔵はまだ課題がある。Jリーグやベルギーリーグではできているのかもしれないけど、そこは国際Aマッチの難しさですね。

鷲見 現役時代パサーだった名波さんから見て、どちらのタイプが合わせやすいですか。

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