2020.06.08

「日本代表に誇りを持った」
サッカーの醍醐味が凝縮していた劇的な一戦

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

サッカー日本代表・心を揺さぶられたベストゲーム
第8回:
2018年7月2日 ロシアW杯決勝トーナメント1回戦
日本2-3ベルギー

見る者の想いを背負い、世界トップクラスを目指して走りつづけてきたサッカー日本代表。その長い戦いのなかで、歴史を大きく動かした名勝負がある。このシリーズでは、各筆者がそれぞれの時代のベストゲームを紹介していく。

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 2018年7月2日、ロシア・ロストフ。筆者は、20年以上のスポーツ取材で、あれほど試合中に声を出し、興奮し、隣の席の見知らぬ記者と抱き合ったことはない。リミッターを外すだけの力があった。

 ロシアワールドカップ、ベスト8進出をかけたベルギー戦は、「マイ・ベストゲーム」と言える。

 後半途中まで、日本は2-0とリードしていた。胸を張れる戦いで、勝利が見えたところだった。そこで、ベルギーの猛反撃を食らう。後半24分から5分間で2点を返され、同点に。そして、アディショナルタイム。日本は、CKで勝ち切るチャンスから一転、強烈なカウンターを浴び、仕留められた。2-3で敗れ、史上初のベスト8の夢は潰えた。

 幕切れが劇的だっただけに、そこがクローズアップされるが、1試合を通じ、これほどサッカーの醍醐味を感じられたことはない。その8年前、2010年南アフリカワールドカップでもパラグアイと延長PKまでもつれたことを考えれば、その時のほうが記録突破には近づいたのだが、ベルギー戦の記憶は格別だ。

 日本人であることを誇りに思った。そして同時に、考えてしまう。

 我々、日本が勝つことはできたのか?

 日本は強豪ベルギーを相手に、序盤から一進一退の攻防を繰り広げている。1トップの大迫勇也を中心に前線からのプレスでパスを分断し、防御線を破らせない。ワイドから抉(えぐ)る相手にも、右サイドバックの酒井宏樹が、FWエデン・アザール、MFヤニク・カラスコを相手に、一歩も引かなかった。