森保ジャパン、E-1で香港に完勝も物足りないデータが複数あり

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 森保ジャパンがE-1サッカー選手権第2戦に臨み、5-0で香港に完勝した。この試合がA代表デビュー戦となった小川航基のハットトリックを含め、相手にほとんどチャンスを与えずに勝利を収めたことは、評価に値する。

E-1サッカー選手権第2戦で、香港に完勝した日本代表E-1サッカー選手権第2戦で、香港に完勝した日本代表 その一方で、A代表の強化という視点から見た場合、いくつかの理由で初戦の中国戦、あるいは2020年W杯アジア2次予選の戦いと、同軸上で比較できない試合でもあった。今回の完勝劇を掘り下げるとき、その大前提は頭に入れておきたい。

 とりわけ対戦相手の香港がこの試合で見せた低調なパフォーマンスは、日本の勝利に大きく影響した。

 香港のスタメンは、3日前に0-2で敗れた韓国戦から、GKを含めて8人が変更されていた。チームを率いるミクス・パーテライネン監督が「今大会は我々にとって難しいローテーションを強いられる」と話していたことを考えると、日本よりも試合間隔が1日短い彼らが、この試合でスタメンの大幅変更を行なったのは予定どおりだったのだろう。

 しかも香港が戦うW杯アジア2次予選のメンバーと比較すると、韓国戦がレギュラーメンバーで、日本戦は控え中心のチーム編成だった。また、基本システムはどちらの試合も4-3-3ではあったが、多くの時間帯を4-5-1の陣形で守備に徹していた韓国戦と比べると、日本戦では守備も徹底されておらず、陣形もそれを反映するかのような歪んだ状態の4-3-3だった。

 選手層が厚くない香港のチーム事情を考えても、レギュラー組と控え組のレベル差は明らか。この試合で日本が香港を圧倒できた背景には、そんな事情もあった。

 対する日本も、初戦のスタメンを総入れ替えして挑んでいる。

 A代表のメンバーの一部と、東京五輪世代のメンバーをミックスして臨んだ短期決戦という意味では、今年6月にブラジルで行なわれたコパ・アメリカを思い出す。ウルグアイと戦ったその大会の2戦目で、森保一監督はスタメン6人を入れ替えたが、今回も同じようなローテーション制を選択したことになる。

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