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森保ジャパン、課題多き中国戦勝利 (5ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 前から行くのか、下がってブロックをつくるのか。2戦目以降にこの課題がどのように修正されるかが注目される。

 その後は、日本も5バックにならないように両ウイングバックが高い位置をとろうとするも、中国の帰陣が前半よりも速くなったため、ボールをキープするも攻撃が停滞。前半に何度か見せた連動した攻撃は皆無だった。何よりパス回しのスピードが遅く、パスやトラップの精度が低いため、結局はボールを失って5-4-1の陣形になり、リトリートを繰り返すだけだった。

 後半の縦パスは10本に減少。連動した攻撃がなかったことの裏付けとなってしまった。またクロスは5本に終わり、遠藤が3本、橋岡が2本を記録。前半よりは右サイドの攻撃が増えたが、全体的に攻撃は停滞の一途を辿った。

 守備面では、試合終了間際に失点を喫してしまった。89分、前線でチェイスを繰り返した上田がガス欠状態に陥り、中盤でボールロスト。そこから中国は5-4-1で引いて守る日本に対し、スローインを挟んで約1分13秒もボールを保持し続け、最終的に9番がヘディングでネットを揺らした。

 たしかにゴール前で9番を放してしまった畠中のマーキングにも問題はあったが、それ以上に、クロスを入れた17番に対する橋本のアプローチが遅すぎたのが致命的だった。消耗した上田が下がってプレッシャーをかけるのか、2列目の4人が前に出るのか。上田と2列目の間にあれだけ広いスペースが空いてしまえば、ボールを保持され、正確なクロスを入れられてしまうのも当然と言える。

 そこで問題として浮上するのが、森保監督のベンチワークである。中国が次々とカードを切るなか、森保監督は試合の流れを変えるための交代策を打つことはなかった。田川(72分)と相馬(84分)の投入は、どちらかと言えばテスト起用。たとえ戦術の浸透を図りたかったとしても、少なくともガス欠の上田を下げてフレッシュな駒を入れていたら、最後の失点は回避されていた可能性は高い。こうした試合で指揮官自らが腕試しをしなければ、W杯予選や本番の勝負どころで的確な采配をふるうことはできるはずがない。

 3-4-2-1の守備面と攻撃面の課題。そして、指揮官のベンチワーク。初戦の中国戦は、そういう意味で指揮官のありのままの姿が映し出された格好だ。

 2戦目となる格下の香港戦では、これらの課題に対してどのような修正が施されるのか。スタメンや採用布陣も含め、注目ポイントは多い。

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