2019.10.12

モンゴルに感謝。W杯予選で
日本代表は絶好の「強化試合」をこなせた

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

 日本代表が国内キャンプを行なう際、大学生や高校生のチームと練習試合をすることがある。

 実力的に言えば、日本代表が上位であることは言うまでもない。勝負という点では、完全にミスマッチだ。しかし、肉体的負荷が高くなり過ぎない程度に、実戦形式の練習を行なえるという点では、有効な機会となる。

 本番よりも力の落ちる相手との対戦のなかで、基本的な決まり事を確認したり、選手同士の連係を高めたり。ボクシングにたとえれば、スパーリングと言ったところだろう。

 当然、スパーリングパートナーを務める相手チームにも、それなりの”立ち居振る舞い”が求められる。

 日本代表にひと泡吹かせてやろうと、ベタ引きで守備を固め、ロングカウンターを狙うような戦い方をされたのでは意味がない。あくまでも練習試合の主役は、日本代表である。時には日本代表の側から、次に対戦する相手の特徴に沿った戦い方がリクエストされることもあったと聞く。

 さて、少々前置きが長くなったが、ワールドカップアジア2次予選のモンゴル戦である。

 日本にとってワールドカップ予選は、結果はもちろんのこと、そこを勝ち上がるなかで強化を進めることが求められる。

 だが、モンゴルのFIFAランクは、日本の31位をはるかに下回る183位。残念ながら、世界最弱レベルに属す国である。日本がさしたる工夫もせずに攻めても、シュートを打ちさえすればゴールに入る。あるいは、モンゴルがそうはさせじと、ただひたすらゴール前だけを人海戦術で固めてくれば、日本が攻めあぐねる。どう転ぶにしろ、そうはお目にかかれない極端な試合になっても不思議はなかった。

 4年前の同じ2次予選のホーム初戦では、日本はシンガポールと対戦し、0-0の引き分けに終わっている。有り体に言えば、日本の取りこぼしである。

 ただし、当時のシンガポールは、日本の攻撃を警戒し、中盤から後ろに人数をかけて守るものの、ボールホルダー、とくにボランチに対しては厳しく体を寄せ、自由を奪った。しかも、奪ったボールをある程度キープすることもできたため、前線のFWまでつなぐことができた。劣勢のなか、どうにか引き分けに持ち込めた要因である。

 とはいえ、日本より明らかに格下と見なされていたシンガポールでさえ、モンゴルよりは数段実力が上。言い方は悪いが、日本にとってモンゴル戦は、強化において意味のあるものになるとは思えなかった。