日本代表が戦うミャンマーの国内サッカー事情。元Jリーガーも活躍していた

  • いとうやまね●文 text by Ito Yamane
  • photo by Getty Images

スポルティーバ・トリビアvol.8【サッカー日本代表編】

 サッカー日本代表とミャンマー代表は、過去に何度か対戦している。国際Aマッチの対戦成績を見てみると、旧国名のビルマ時代を入れて、5勝5分2敗。この記録は1955年からのもので、日本代表は1965年から6戦戦って負けていない。最後に矛を交えたのが1994年10月9日のアジア競技大会で、日本はホーム試合を5-0で勝利している。

代表戦では熱狂的になる、ミャンマーサポーター代表戦では熱狂的になる、ミャンマーサポーター 客席で掲げられる国旗は、当時、赤と青をベースにした今とは異なるものだったが 、2010年に現在の意匠に変更された。ミャンマー連邦共和国国旗は、三色旗に星がついている。黄色が国民の団結、緑は平和と豊かな自然環境、赤は勇気と決断力、真ん中の白星はミャンマーが地理的・民族的に一体化する意義を示している。民族的一体化をあえてうたうのは、ミャンマーが多民族多宗教国家ゆえの火種を昔から抱えているからだ。

 予選が行なわれるトゥウンナ・スタジアムは、ミャンマー最大の都市ヤンゴンにある。ランドマークの黄金に輝く巨大仏塔「シュエダゴン・パゴダ」から車で10分ほど。鉄道の駅も近い。季節的には雨季の最後のほうだが、突発的な雨もあるので、現地組は雨具を用意したほうがいいだろう。

 スタジアムはかつての日本の国立競技場といった風情だ。普段はヤンゴンにある多くのチームがホームスタジアムにしている。ヤンゴン・ユナイテッドFCも以前はホームとして使用していた。金古聖司(元鹿島、福岡)、山崎昂輔(元大分)など、元Jリーガーが所属していた、ミャンマー・ナショナルリーグの強豪である。

 国内リーグがすごく盛り上がっているかというと、そうでもなく、サッカー好きはイングランドのプレミアリーグを見ている。それでも、戦うのがミャンマー代表チームとなれば話は別だ。試合前の国歌斉唱から客席のボルテージはマックス。町中の食堂では、袈裟を着た僧侶 までもがテレビにかじりついている。

 試合前に歌われるミャンマー国歌は、1947年に制定され、占領統治の中でも歌い継がれ、現在に至っている。愛国心溢れる力強い歌詞は作られた当時のままだが、旧国名のビルマだけ、現国名のミャンマーに替えられている。前後半に分かれていて、サッカーの試合では後半部分だけ使われることが多い。

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