東京五輪まで1年。なでしこがW杯での敗戦から学ぶべきこと (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 また、上位進出をかけたゲームになればなるほど、セットプレーでの得点失点が勝敗を分ける。今回の日本は、セットプレーからの得点はゼロで、兼ねてからの課題ではあるが、克服するまでには至っていない。大会中もかなり力を注いでいたが形にはならなかった。セットプレーの得点が見込めないのは圧倒的に不利で、重要課題がそのまま残ってしまった。

 明るい話題があるとすれば、この苦しい選手層のなかで若手の成長もあったことだ。展開をいち早く読み、試合をコントロールする目が必要なボランチでは、杉田&三浦成美(日テレ・ベレーザ)のふたりが飛躍の可能性を示した。

 経験の少なさが大舞台で響いたことは否めないが、今年に入ってからチャンスを掴んだ杉田は、スピードや間合いに慣れてくると、得意のしなやかなターンや前線へ絡む攻撃参加など"らしさ"が出てきた。今後は、ポジショニングの精度とパススピードの向上が課題だろう。

 小柄な三浦は、そのハンデを的確な判断力と豊富な運動量でカバーしてきたが、今大会でさらにレベルアップしたように感じる。オランダ戦では、ずっと取り組んでいた相手アンカーのケアもイメージどおり。攻撃面でも、機を見て前線まで上がっていくシーンがあった。

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