ゲンク・伊東純也が明かす
「プロになれる」手応えをつかんだ瞬間

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • 渡辺航滋●撮影 photo by Watanabe Koji

ゲンク・伊東純也インタビュー@前編

 伊東純也が日本に帰ってきた。わずか3カ月半前、戦いの場を日本からヨーロッパに移すと、シーズン途中で加入したゲンクでいきなりリーグ優勝に貢献し、ベルギー国内で強烈なインパクトを残した。そして6月、日本代表メンバーに選ばれ、凱旋帰国。右肩上がりで成長している伊東の今に迫った。

異国の地にすっかり馴染んだ伊東純也異国の地にすっかり馴染んだ伊東純也―― まずはゲンクでの優勝、おめでとうございます

伊東純也(以下:伊東) ありがとうございます。

―― シーズン最後のスタンダール・リエージュ戦の試合後、「大学(神奈川大学)に行ってなかったら、今の僕はなかった」と言っていたのが印象的でした。

伊東 僕は普通の公立高校(逗葉高校)出身ですから、卒業してもすぐにプロになることはできませんでした。同級生に小野裕二(サガン鳥栖)がいましたが、彼は横浜F・マリノスのユース所属でサッカー部じゃなかった。うちのサッカー部からプロになった選手なんて、いなかったんですよ。

―― 両親の方針で公立に行ったんですか?

伊東 そうです。僕は、家から高校に通いたかった。中3の時、逗葉は高校選手権・神奈川県予選の決勝まで行ったんです。まあまあ強い学校なんですが、僕の在校時は最高でベスト8でした。

―― チームがそれほど強くなくても、個の能力が認められて県のトレセンに選ばれたら、プロになるチャンスもあったのでは?

伊東 国体のセレクションに呼ばれたんですが、全部断っていました。

―― それは、なぜ?

伊東 行きたくなかったから。

―― えっ!?

伊東 自分は早生まれなので、一学年下のセレクションに呼ばれたんですが、友だちがいないから行かなかったんです。

―― 当時の伊東選手は、周りに知っている人がいないと駄目な性格だったんですね。それを思うと、今、親元を離れてベルギーでひとり暮らししているのは、すごいことですね。

伊東 みんな、ビックリしています。

―― プロサッカー選手になる欲は、神奈川大学の在学中に生まれたのですか?

伊東 欲というか、「プロになれる」と思ったのが、神奈川大学の時でした。

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