福田正博は考える。日本人はロングボール戦術を採用すべきか? (4ページ目)
相手にすれば疲労で足が動かない時間帯で、ラインを下げた後に再び前に出てプレッシャーをかけるのはきつい。そうした状況を生み出すために、ロングボールを使うと相手に思わせる選手起用をしたのだ。
日本代表がロングボールを選択肢として持っておくことは、こうした戦術的観点からも有効だろう。もちろん、日本代表の持ち味は技術の高さに裏打ちされたパスワークにあると私は考えている。だが、それだけで相手の守備網を破れないのなら、別の手段を相手に見せることで駆け引きをする。ロングボールが日本代表にとって長所ではないとしても、それを使うことで相手に迷いが生じて、持ち味のパスサッカーの威力を発揮できる状況を作り出せる。
ロングボール戦術が日本代表のストロングポイントではないからといって、それをすべて否定するのではなく、どういう意図や狙いを持って選択した戦術なのかを理解する。そうすることで、サッカー観戦がさらに楽しいものになっていくはずだ。
著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。
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