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鬼門の決勝トーナメント初戦。
森保Jは悪しき流れを断ち切れるか (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 さらに、ゴール前に飛び出してくる両ウイングのサレム・アルドサリやハタン・バハビルなど、危険な選手は多いが、スーパーサブのヤヒア・アルシェハリも厄介な存在だ。アルドサリが出場停止だった第3戦に先発した背番号8は、「サウジのメッシ」と呼ばれ、ドリブル突破とスルーパスで攻撃に違いを生み出してくる。

 指揮を執るのは、スペイン人のフアン・アントニオ・ピッツィだ。これまでサウジアラビアは伝統的に速攻の色が濃かったが、今回のチームはスペイン人監督に率いられているだけに、ボールを握る意識が強い。

 日本としては主導権を譲りたくないところだが、一方で、臨機応変に割り切る姿勢も重要だろう。あえて相手を引き寄せて、カウンターを狙うというような。

 大会前、遠藤航(シント・トロイデン)は「状況によっては相手にボールを持たせてもいいと思う。押し込んでも点が入らないときってあるじゃないですか。だったら、相手に攻めさせて、カウンターで仕留めればいい。そういう割り切りや柔軟性はすごく大事かなと思う」と語っていたが、まさにサウジアラビア戦は割り切りや柔軟性が求められる試合になりそうだ。

 森保一監督のメンバー選考にも注目が集まる。グループステージ第3戦のウズベキスタン戦では、先発10人を入れ替えて勝利した。果たして、サウジアラビア戦では再び総入れ替えして、元に戻すのか。あるいは、数人を残してシャッフルするのか。指揮官がよく口にする「総力戦」「総合力」は、ここから問われることになる。

 いずれにしても、サウジアラビア戦は、過去の悪しき流れを断ち切って、先制点を与えないことが重要になる。これまでは逆転した試合も少なくないが、同じ数だけPK戦までもつれ込んでいる。

 今大会から出場国が8チーム増え、決勝トーナメントでの試合が1試合増えた。ワールドカップより厳しい試合間隔を考えると、ラウンド16から延長戦を戦っていては、決勝までの4試合を戦い抜くことは不可能だろう。8大会続けて、同じミスを繰り返すことは許されない。

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