「全取っ替え」でよくなった日本代表。だが、西野Jと同じ轍を踏むな (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 典型的な右ウイングとはいえ、いそうでいないタイプ。その伊東が縦に引っ張ったことで、少しばかり楽になったのが右SBの室屋成(FC東京)だ。

 前半40分、ウズベキスタンに先制ゴールを奪われたその3分後だった。右のタッチライン際で、身体を巧く回転させながら、ドリブルで鋭く縦に突いて出て、深い位置からマイナス気味の折り返しを決めた。

 これを武藤嘉紀(ニューカッスル)がヘディングで合わせ、早い段階で追いついたことがこの試合のポイントになる。格下相手に大苦戦した第1戦、第2戦。この試合も先制点を奪われ、嫌なムードになりかけた時間帯だった。流れを変える価値あるゴールと言えた。塩谷が逆転弾を決めた後半14分前後は、すっかり日本のペースで推移していた。

 森保一監督は2戦目のオマーン戦から先発10人を入れ替えて、このウズベキスタン戦に臨んだ。ただひとり、スタメンで2戦連続出場を飾った北川航也(清水エスパルス)も本来の扱いはサブ。オマーン戦も後半12分にベンチに下がっていた。悪く言えば代表2軍だ。

 にもかかわらず、冒頭で述べたように、こちらの11人の方がよく見えた。唯一の難点は右に比べ、左の乾・佐々木翔(サンフレッチェ広島)の攻撃が弱かったことだが、それでも左右のバランスはこれまでより取れていた。

 もしウズベキスタンと第1戦、第2戦で戦っていたら、勝利を飾ることができていただろうか。怪しい限りである。

 注目されるのは4戦目、サウジアラビア戦のスタメンだ。森保監督はおそらく、当初のメンバーに戻すのだろう。もったいない気がしてならない。この日のスタメン11人が積んだ経験を、次戦でまったく活用しない手はないのだ。

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