アジアカップ苦戦の要因を整理。森保Jが修正すべきポイントは? (6ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Sano Miki

 まず、この試合では北川以外に交代選手を使わなかったことがひとつ。しかも3-2となった後も戦術的選手交代は行なわず、アディショナルタイムの猛攻にさらされた場面でも時間稼ぎの選手交代に動くこともなかった。

 3-1とした後に無闇に攻撃せず、横パスやバックパスで相手をいなすように指示を送ることもなく、戦術的選手交代策で試合を落ち着かせることもなく、ただただ戦況を見つめているだけでは、ロシアW杯でのベルギー戦の西野朗前監督と何ら変わらない。

 しっかり幅をとってボールを回し、相手の戦意を低下させることができれば、少なくとも89分に堂安と大迫が相手の悪質なファールを受けるような場面は起こらなかったはず。試合をコントロールすることは、勝利を確実にするだけでなく、無用なラフプレーから選手を守るというメリットもあるのだ。

 終盤に森保監督が動かなかったことから察すれば、おそらく決勝戦までを計算して、グループステージ3試合のスタメンはローテーションさせる準備をしていると思われる。

しかし、このような試合展開で交代枠を2枚残したまま試合を終えた時点で、監督としての資質も疑われてしまう。仮に同点に追いつかれて勝ち点2を失っていたとしたら、監督采配がもっと大きな問題点としてクローズアップされたに違いない。

 いろいろな問題が露呈した森保ジャパンの初戦。そのなかでも、ピッチ上で選手が繰り広げるパフォーマンス以上に、このアジアカップでは森保監督の采配に注目する必要がありそうだ。

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