スペインの名将が森保Jを総括。「戦術の充実で飛躍を遂げつつある」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Masuda Yuichi

「後半が始まって15分近く、キルギスは自陣から出て積極的にプレーしている。システムは変えなかったものの、意識を高め、確実に強度を上げた。プレスをかけるようになって、コンビネーションを使い、ゴールに近づくようになった。

 日本が劣勢に立ったわけではない。ただ、膠着状態になったことで、森保監督は吉田麻也(サウサンプトン)、柴崎岳(ヘタフェ)、堂安律(フローニンゲン)、大迫勇也(ブレーメン)など主力組を次々に送り出している。この交代で再び盛り返し、インサイドでボールを持つ機会が増えた。

 そして後半27分だった。守田が強めに出した縦パスを、前線の北川がフリックで大迫に通す。大迫はGKと1対1になって、確実に決めた。守田のラインを破るパス、北川の判断、大迫の落ち着きは特筆すべきだろう。これで、相手は憔悴した。

 その直後だった。南野拓実(ザルツブルク)がボールを前に持ち運び、堂安にパスを流す。そして堂安はダイレクトで左へダイアゴナルのスルーパス。中島翔哉(ポルティモネンセ)が4点目を流し込んだ。いずれも途中出場の3人による、質の高い攻撃だった。

 率直に言って、この2つのゴールのクオリティはとても高かったと言える。事実上、試合はこれで決した」

 そして最後に、エチャリは2018年の日本代表をこう総括している。

「2018年、日本はロシアW杯を戦い、ベルギーと熱戦を繰り広げた。その後も、技術、体力、そして戦う姿勢など確実に成長したことを証明している。なにより戦術面の充実によって、大きな飛躍を遂げつつある。森保一監督は、世代交代を適切に進めている。新しい選手たちが野心的にプレーしている点は、これからの可能性と言える。そういう状況を作り出すために日夜働いている、Jリーグのクラブの方やサッカー協会の人たちを、心から祝福したい」
(つづく)

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