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クラブで不遇の柴崎岳に
嫌な質問をぶつけた。「試合勘の影響は?」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 あれから1カ月、その間に所属クラブでの立ち位置に変化はなかった。リーグ戦では出番がなく、10月31日に行なわれた国王杯に途中出場したのみ。柴崎は好転のキッカケを掴めないまま、再び日本代表に合流した。

 同じ司令塔タイプのボランチ、青山敏弘(サンフレッチェ広島)が負傷離脱した影響もあったかもしれない。柴崎はベネズエラ戦でも再びスタメンとしてピッチに立っている。ところが、どこか自信なさげだったウルグアイ戦とは対照的に、この日は積極的にボールに絡む背番号7の姿があった。

 開始早々に右サイドの堂安律(フローニンゲン)にスルーパスを通し、持ち前のパスワークを示すと、その後もディフェンスラインからのクサビを引き出し、シンプルにボールをつないでいく。時折パスミスも見られたし、球際で競り負けるシーンもあった。それでもウルグアイ戦と比べれば、ずいぶん持ち直してきたように見えた。

 後半立ち上がりには、柴崎らしいプレーも見られた。ルーズボールを拾ってダイレクトで大迫につけ、そのまま右サイドを駆け上がり、再度ボールを引き出す。そこからのクロスは相手GKに弾かれシュートにつなげることができなかったが、守から攻に切り替え、プレーを止めることなく危険な位置に飛び出していった一連のプレーは、彼が持つセンスを示すものだった。

 その積極性の裏には、ある思いがあった。

「今日の試合に関しては、ああいった飛び出しを久しぶりに出せたかなと思います。チャンスメイクができたらなと思っていました」

 立ち上げからわずか3試合で、堂安、南野、中島翔哉(ポルティモネンセ)が形成する2列目トリオは、早くも森保ジャパンの象徴的な存在となっている。若く勢いのある3人は確かに日本の攻撃の核となっているが、柴崎にも世界を相手に結果を出した司令塔としての自負があるのだろう。いわば、ワールドカップ戦士としてのプライドが感じられたプレーだった。

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