朴訥な19歳。冨安健洋は日本の未来を背負って立つ守備の俊英だ (2ページ目)
実際の新潟のピッチ上には、堂々たる所作でハイレベルなプレーを披露し続ける冨安の姿があった。対峙したのはパナマの背番号9、ガブリエル・トーレスだ。ロシアW杯にも出場したストライカーをハードにマークして自由を奪い、シュートを1本も打たせなかった。最終ラインの中央に入る選手として、もっとも重要な仕事を完璧にこなしたと言える。
そして、モダンフットボールのディフェンダーに求められる高い資質も見せた。ビルドアップの際に、右に開いてボールを持つと、両足から高精度のパスを配球。もともと定評のあったグラウンダーのパスは1月に渡ったベルギーでさらに磨かれ、強くて正確だ。また対角線のロングフィードは味方のチャンスを生み出し、前にスペースがあれば、自ら持ち上がってチーム全体を押し上げた。
でも本人に言わせると、それもこれも周囲のサポートによって実現できたことだという。
「青山(敏弘)選手や(三竿)健斗くんがバランスをとってくれて、ボールを落ち着かせてくれました。だからこそ、僕が開いてボールを出すことができたと思います。彼らのポジショニングを見て、自分で判断してやっていましたけど、(味方の)サポートがなければ、難しくなっていたのではないかと」
そんな風にどこまでも地に足がついている若者を、周囲はどう見ていたのか。ゴールマウスに立ち、彼の背中を見ながらプレーしたGK権田修一はこう話す。
「能力が高いのは練習を見ていてもわかります。自分の良さをしっかり出せる選手ですね。あの年齢でこの舞台で(実力を)出せるのは、普通じゃない。ベルギーでも常時出場しているし、質の高い選手だというのは明らか。(2015年3月以来の代表戦に出場した)僕も長く、一緒にできるように頑張りたい」
冨安の隣でセンターバックの相棒を務めた槙野智章は、より具体的に印象を語った。
「注文はないですよ。初出場の代表戦なのに、すごいハイパフォーマンスだった。人に強く、アジリティーもあり、スライドなどの戦術的な動きにも無駄がない。経験を積んでいけば、もっともっとよくなるはずです。楽しみですよね。どんな言葉をかけたかですか? いつもどおりのプレーをしてよ、楽しくプレーできているか、と。それが一番大事だと思うので」
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