U-21森保ジャパンの逸材ボランチは目指す理想のスケールがデカい (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

「あのすごさは、一緒にやらないとわからない。地味な作業なんですけど、すごいなって感じます。僕もカズさんみたいにゲームをコントロールできる選手になりたい」

 まさにベトナム戦の後半に松本がトライしたのも、ゲームコントロールだった。

「前半ベンチから見ていて、ゲームをコントロールできていないな、と思ったので、僕が入ったら、たくさん受けてリズムを作ろうって。あと、ベトナムの真ん中の守備がルーズだと感じたので、縦パスを入れられそうだなって。実際、リズムよく縦パスを入れていけたんで、よかったです」

 もっとも、松本が森﨑の域に達するには、試合経験が圧倒的に足りない。それを積むには、不動のコンビである青山と稲垣の牙城を崩すしかないことは、ほかでもない松本自身がよくわかっている。

「最近は勝っている試合が多いんですけど、観察していると、守備のコースの消し方とか、守備のときの球際とか、そういうのができないとJ1では通用しないし、試合には出られないなって感じています。だから、それを学んでいるところです」

 思い描くボランチ像のスケールは、果てしなく大きい。

「見ていて面白いのは、セルヒオ・ブスケッツ(バルセロナ/スペイン代表)。あと、(ケビン・)デ・ブライネ(マンチェスター・シティ/ベルギー代表)も好きですね」

 中盤の底で攻守に舵を取るブスケッツと、ドリブルで持ち運んでゴールまで決めるデ・ブライネ。そのふたりを足して2で割ったような選手になれたなら――。

「それが理想です。そうなれるといいなって思います」

 8月22日が誕生日だった松本にとって、決勝トーナメント1回のマレーシア戦は二十歳になって最初に迎える公式戦となる。

「自分がゲームをしっかりコントロールして、できたら点も獲りたいですね」

 二十歳のボランチが冷静なゲームメイクと大胆な攻撃参加を披露したとき、ベスト8進出だけでなく、その先のメダル獲得まで見えてくる。

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