土居聖真が柴崎&昌子に続く。
鹿島の同期組が日本代表を変える

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

新生・森保ジャパンにオススメの選手(3)
FW土居聖真(鹿島アントラーズ)

 あれは今シーズンが開幕したばかりのころだった。試合後のミックスゾーンで鹿島アントラーズの土居聖真を呼び止めた。その日の試合内容について話を聞き終えると、そうした質問を投げかけたわけでもないのに突然、こう言った。

「今、あらためてサッカーが楽しいなって思っているんですよね」

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鹿島アンラトーズで随一のテクニックを誇る土居聖真鹿島アンラトーズで随一のテクニックを誇る土居聖真 いきなりの告白に、こちらが目を丸くしていると、さらに土居は言葉を続けた。

「昨年12月の東アジア(E-1サッカー選手権)で、日本代表に呼ばれたじゃないですか。あれが本当に刺激になったんですよね。自分は追加招集だったから、みんなよりもさらに短い期間だったけど、代表で一緒にサッカーができた時間が本当に楽しかった。みんなうまいからパスも出てくるし、少し練習しただけでも考えていることや意図をわかってもらえた。あれが自分にとって本当に大きな経験だったんです」

 そのE-1選手権では、代表デビューとなった中国戦と、続く韓国戦の2試合に出場。プロ7年目にして初めて、鹿島とは異なるユニフォームに袖を通した。小学校卒業と同時に地元・山形を離れ、鹿島一筋で育ってきた彼にとって、その刺激はなおさら強かったのだろう。

 そんな土居の特徴は間違いなく技術にある。鹿島では、小笠原満男や野沢拓也(ウーロンゴン・ウルブス/オーストラリア2部)が身につけた背番号8を受け継いでいるように、ひと言でいえばテクニシャンだ。

 繊細なボールタッチを活かしたドリブルで、するすると狭いスペースを抜けてゴール前に顔を出す。かと思えば、素早い動き出しからDFの背後へ走り込み、ラストパスを受けるスピードもある。加えてパスセンスもあり、周囲を活かすことも可能だ。

 試合を見ていれば、随所にテクニックの高さをうかがい知ることができ、思わず「うまい」と感嘆の声を挙げてしまうこともしばしばだ。J1第14節のセレッソ大阪戦で決めたゴールでは、左サイドからのクロスに対してマークを外す動き、またクロスの軌道に合わせて直前で動き直す感覚、そして的確にゴールへ流し込む技術と、その所作は完璧だった。

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