なでしこ、3連敗も好感触。
際立ったのは高倉監督の「コンバート力」 (2ページ目)
安全に引き気味のポジションを取ったアメリカ戦では、ボールを低い位置でしか奪うことができず、攻撃に転じた際にも、パスミスをさらわれると即ピンチという状況下での攻防を強いられた。
そんなアメリカのスピードを目の前にしても、「もうひとつ前で勝負できる感覚は時々あった」(有吉)と言う。そして、それを最終戦でトライしてみようと意見はまとまった。
目指したのは、「コンパクトかつ積極的な守備」だ。キックオフ直後から2トップがボールホルダーに対し、徹底的にプレスをかける。最終ラインはズルズルと下がることがないように、いつも以上に小まめなラインコントロールでギリギリまで押し上げた。ポイントとなるのは有吉、隅田凜(日テレ・ベレーザ)のボランチ2人のバランスだ。
とくに、攻撃に転じた際には距離感を詰めたい。全員でコンパクトさを保つことで、それが実現できる場面もあった。1プレイごとに声を掛け合いながら位置を調整する。その甲斐あって、前半は大きく崩されることはなく、完全にハメることができた。選手たちの狙いどおりの運びだったが、守備に集中した代償は攻撃に現れた。
2トップはプレスに駆けずり回りながら、それでもボールをコントロールしていた。横山からのパスを中島依美(INAC神戸)がダイレクトで蹴り込んだり、長谷川唯(日テレ・ベレーザ)がグラウンダーの鋭いパスでDF裏への縦パスを入れるなど、好機を作る。それでも、プレスを重視するあまり、それぞれの距離が開いてしまった。ペナルティエリア付近でポジションを取り、ワンタッチプレーで相手を置き去りにする形を作れていたここまでの2戦とは、対照的な距離感だった。
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