現れた頼もしい新戦力。21歳MFは初めてづくしの強豪との戦いで笑った

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 勝てない相手ではなかった――ブラジルに1-2で惜敗した、なでしこジャパンの「トーナメント・オブ・ネイションズ」第2戦はそんな試合だった。2失点ともにミス絡み。確かに不用意な失点ではあったが、前半は特に日本が主導権を握っていた時間帯も多く、チャンスを結果に結びつけられなかったことが悔やまれる。

代表歴は浅くても、強豪相手に果敢に挑んだ三浦成美代表歴は浅くても、強豪相手に果敢に挑んだ三浦成美 ここまで2戦連続でフル出場を果たしているのが、キャプテンマークを巻くセンターバックの鮫島彩(INAC神戸)、両サイドバックの清水梨紗(日テレ・ベレーザ)、阪口萌乃(アルビレックス新潟)ら守備陣たちだ。その中で唯一、中盤としてピッチに立ち続けているのが三浦成美(日テレ・ベレーザ)。今年6月になでしこジャパンに初招集されたばかりの21歳だ。

 所属するベレーザでは現在、ケガで長期離脱中の阪口夢穂に代わって、ワンボランチに挑戦中だ。今季のベレーザはチームカラーであるパスサッカーに加え、さらなる展開力を求めて、4-1-4-1システムを起用。三浦は中盤の底でのコントロールと、そこからの攻撃参加も求められる難しいポジションを担っている。絶賛奮闘中の三浦が、なでしこジャパンでもその能力を開花させようとしている。

 彼女のプレーはとにかくクレバーだ。アメリカ戦でもブラジル戦でも、相手に囲まれると、156cmの三浦はスッポリと隠れてしまうにも関わらず、ボールを失う率は想像以上に低い。もちろんフィジカル差でやられることもあるが、それ以上に戦えている印象が残る。世界のトップレベルと戦うのは今大会が初めてのこと。初戦のアメリカでは、有吉佐織(日テレ・ベレーザ)と初めてボランチとしてコンビを組んだ。ベレーザのチームメイトではあるが、そもそもダブルボランチに慣れていない者同士では、ゲームコントロールも簡単ではなかった。

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