杉山氏が森保ジャパンに異議。日本サッカーのガラパゴス化が進む (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by JMPA

 ただ、これまでの田嶋会長の言葉を聞いていれば、予想されたことではある。2010年南アフリカW杯を戦った岡田武史監督以降、代表監督に就任したアルベルト・ザッケローニ、ハビエル・アギーレ、ヴァイッド・ハリルホジッチの3人は、すべて小倉純二会長、大仁邦彌会長時代に招いた監督で、招聘の中心になったのは原博実氏(現Jリーグ副理事長)だった。

 その原さんとサッカー協会会長選挙を争い、勝利したのが田嶋現会長になるが、世界のサッカーへの造詣は、原さんの方が圧倒的に深かった。協会に入る前から欧州各地を単独で幾度となく旅行し、多くの試合観戦や、関係者との接触を通して、日本のそれまでの指導者に欠けていた世界観を備えるに至っていた。

 その結果、招いた監督がハリルホジッチだったとは笑えない話になるが、それでも監督探しのスケールが、原さんの協会入りとともに大幅に拡大したことは事実だった。会長選挙に敗れた原さんは常務理事の座にとどまるものの、代表監督探しに関わる立場にはない。

 つまりサッカー協会は、ジーコ、オシム、岡田という近場の人材に求めざるを得なかった2010年以前に逆戻りした状態にある。西野監督に続いて森保監督となれば、その傾向はいっそう浮き彫りになる。

 探す能力に欠けるだけではない。そもそも目指すサッカーが不鮮明だ。田嶋会長は西野ジャパンに賛辞を送った際、そのサッカーを「ああいうサッカー」と、称した。ハリル解任会見の席上でも、目指すサッカーの方向性について問われると「コレクティブな......」とひと言。さらに突っ込まれても「パスを繋ぐサッカー」と小さな声で述べるに止まった。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る