セネガル戦では、本田圭佑の「スッキリ」が
同点以上の価値だった (6ページ目)
倉敷 「たがを弛める」という表現があります。協会の大会直前のドタバタはまた別の討論のお題ですが、ヴァヒド・ハリルホジッチのようにギュウギュウと選手にプレッシャーをかけていくタイプの監督を、協会が本番直前にチームから外したことが、結果的にいい方向に転がったということは言えそうですね。
中山 たしかに、振り返ってみると、倉敷さんが言ったように、ギュウギュウ締められて息苦しかった状態から解放されて、次に選手と一緒にチームを作ろうという西野監督が現れたことで、チームが持っている以上の力を出せる環境を手にすることができた。そのことが持つ意味は大きかったと思います。コロンビア戦のラッキーも含めて、それが全体としてチームに追い風が吹いた原因だったのかもしれないですよね。
倉敷 もしかしてうちの協会はすごく戦略的なんですか(笑)。
中山 いやいや(笑)。
小澤 どう見ても戦略的じゃないでしょう(笑)。でも、ワールドカップは4年に1度の博打に近い戦いなので、あまりクラブチームのように積み上げようという発想はなくていいかなと思っています。それよりも、個人個人が所属クラブでいかにレベルアップするかの方が重要で、4年に1回集めて博打を打ちましょうというのでもいいのかなと、今大会の顛末(てんまつ)を見ていて逆に思いました。
倉敷 なるほど、たしかにそうですね。ワールドカップの楽しみ方は奥が深い。勝っても勝ち方が気に入らないと言われる国もいっぱいありますが、日本はこれからどう進化するでしょう。戦犯になった選手宛てに脅迫状を送りつけたりしますかね? いやいや、それはだめですね(笑)。娯楽なんですから。
すでに「お昼のバラエティ情報番組で日本戦の分析が連日行なわれる」という新しいステージに日本も突入しています。次のカタール大会で出場を果たせば、アジア枠が8に広がる2026年大会からはほぼ確実に出場することが期待できるわけですから、ワールドカップのたびに日本のサッカー文化が著しく進歩していくといいですね。
それでは、次回は日本のファンがたくさんのことを考えるきっかけを作ったゲーム、ポーランド戦を振り返ります。
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