パラグアイに快勝の「入れ替え
西野ジャパン」はW杯本番でも通用するか (3ページ目)
メンバーもフォーメーションも固定することが定石だとはいえ、それで結果が出なければ、いよいよ出口の見えないトンネルにはまりかねない。それならば、メンバーもフォーメーションも変え続け、いわば、あえて難しいタスクを課すことで、それを乗り越えた瞬間をブレイクスルーのきっかけにする。西野監督はそう考えていたのではないだろうか。
当然、ここでも結果が出ず、ただただ何も起こらないまま本番を迎えるリスクもあっただろう。だが、どこかで劇的な変化を起こそうとするならば、正攻法では難しい。
実際、結果を出せずに苦しんだがゆえ、日本代表はパラグアイ戦をきっかけに、選手それぞれの結びつきが強固な集団へと変わり始めた。MF乾貴士がゴールを決めた直後、殊勲のヒーローを中心に控えメンバーが作った歓喜の輪が、チーム内に漂う雰囲気のよさをうかがわせる。
乾貴士が2ゴールを決めるなどして、パラグアイに快勝した日本代表 ただし、これによってワールドカップ本番でのグループリーグ突破の可能性が多少なりとも高まったかと言えば、残念ながら、それはまた別の話である。
西野監督は、地道に戦術的な熟成を図るよりも、いかに選手個々の能力を最大限に発揮させるか、つまりは、いかに選手個々に気分よくプレーしてもらうか(前任者が最も大きな失敗を犯した点だ)に注力してきた。それによって、一定の(というより、意外なほど大きな、と言うべきかもしれないが)成果も得た。V字回復は大袈裟だとしても、少なくとも日本代表は右上がりの状態にまで戻ったと言えるだろう。
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