阪口夢穂のケガで窮地の
なでしこジャパンに「もう1人の阪口」が出現
6月10日、なでしこジャパンはニュージーランドの首都ウェリントンで国際親善試合に臨み、ニュージーランドを3-1で下した。
国際試合は初キャップながら、いい動きを見せていた阪口萌乃 ニュージーランドとの対戦はこれで9度目。これまで負けなしの相手ではあるが、ニュージーランドもオセアニアトップの誇りにかけて、世界大会初勝利の壁を越えようとしているチームだ。戦術、技術面では発展途上だが、フィジカルにおいては日本をはるかに上回る。
なでしこジャパンは、チーム発足当初から心臓部であった阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)が、右膝前十字靭帯損傷および内側半月板損傷で全治6~8カ月という重傷を負い窮地に陥っている。これまで阪口夢穂を中心に据えたチーム作りをしてきたが、今回のような最悪の事態を想定していなかったわけではない。むしろ想定していたからこそ、一部の選手以外は固定せずに底上げを図ってきた。ニュージーランドとの対戦は、ワールドカップまでの1年のスタートと位置づけた高倉麻子監督としても、一段階ギアを上げた戦力アップに着手したい試合だった。
フタを開けてみれば、ニュージーランドはスタート時点から5バックを敷き、ガチガチにゴール前を固めてきた。遅かれ早かれこうなることは承知の上だった。それならば、むしろ日本は舵を切りやすい。固めてくる相手をいかにして切り崩すか、どこでスイッチを入れるのか――。開始からものの数分で試合の構図が描かれた。
スタメンはGK山下杏也加(日テレ・ベレーザ)、最終ラインはアジアカップで出場機会に恵まれなかった高木ひかり(ノジマステラ)が右サイドバックに、熊谷紗希(オリンピック・リヨン)と三宅史織(INAC神戸)のセンターバック、左には鮫島彩(INAC神戸)を入れて安定させる。今回のボランチは隅田凜(日テレ・ベレーザ)と宇津木瑠美(シアトル・レイン)。中盤の3枚には右から中島依美(INAC神戸)、長谷川唯、中里優(ともに日テレ・ベレーザ)、トップには田中美南(日テレ・ベレーザ)が入る4-2-3-1という布陣になった。
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