お手本はレバンドフスキ。森保ジャパン田川亨介、ポストプレーを磨く (2ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 圧巻だったのは、ゴールレスドローの可能性が高まっていたゲーム終盤だ。

 82分には浮き球パスを受けて左足で、86分にはマルセイユルーレットで相手DFを翻弄して左足で、88分にはスピードに乗ったドリブルから左足で、立て続けに3本のシュートを放った。いずれもサイドネットや相手GKに阻まれてしまったが、日本はタイゴールに確実に近づいていた。

 決勝ゴールを演出したのも、ゴールへの意欲をみなぎらせていた、この左利きのストライカーだった。

 90分、MF井上潮音(いのうえ・しおん/東京ヴェルディ)が右サイドからクロスを入れると、ファーサイドで待っていた田川が頭で落とし、DF板倉滉(いたくら・こう/ベガルタ仙台)が右足で合わせてゴールネットを揺らす。

「あそこにボールが来るのかな、と予測して走っていたら本当に来て、滉くんがあそこにいた。角度的に落とすしかなかったので、確実に落とせてよかった。いい仕事ができたのかなと思います」

 これが決勝点となり、日本が1-0でタイに勝利。1試合を残してノックアウトステージ進出を確定させた。

 自らゴールを奪ったわけではないため、「ゴールができなかったのがすごく悔しい」と、田川は無念そうな表情をのぞかせた。だが「チームを引っ張る」「ゴールにこだわる」という想いは、そのプレーから確かに伝わってきた。

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