「怒るハリル」に呆れる。20分で失速した理由を理解できているのか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 苦戦は、この日のスタメンを見た瞬間から予想された。いや、正確に言えば、それは10月6日に行なわれたニュージーランド戦のスタメンを見た瞬間から、になる。

 ニュージーランドとハイチ、強そうなのはどちらか。FIFAランキング的に言えば、113位対48位でハイチだ。W杯予選で敗退し、試合から遠ざかっているハイチの実情を加味しても、せいぜい互角(実際、そうだった)。にもかかわらず、ハリルホジッチはニュージーランド戦にベストメンバーとおぼしき選手を並べた。ハリルホジッチがあらかじめ「招集した選手全員を使いたい」と述べていたことを踏まえれば、ハイチ戦のスタメンは、ニュージーランド戦のスタメンを見た瞬間に読めたも同然だった。

 こんなアンバランスなメンバー構成で大丈夫か。あるいは結果を度外視しているのか。ハイチ戦への疑念は、ニュージーランド戦の開始前から募っていたのだ。

 ハリルホジッチはこの事態を予想できなかったのか。好意的に解釈すれば、予想できたが、予想できなかったように振る舞い、驚いてみせた――となる。そう考えたいが、だとするならば、ハイチ戦後の怒りの表情はポーズになってしまう。

 ハイチ戦に先発し、ハリルホジッチから激怒された選手は哀れと言うべきだろう。二軍的なメンバーで戦う11人に、チームとして機能しろというのは無理な注文だ。過去に一緒に戦った経験がないのだから。2-0でリードをしても、その後に失速することは十分あり得る。驚くべき話ではない。

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