毎試合ヒロインが生まれるヤングなでしこ。U-20W杯の準決勝へ (4ページ目)
新たなポジションを与えられる中で活躍した守屋、ゴールが成長を促すであろうと背中を押された松原、ほかにもカナダ戦のパフォーマンスを買われ、準々決勝でも右サイドバックを任された宮川など、これまで控えとして戦ってきた選手たちのモチベーションが高いのは、高倉監督が21人全員を見ているから。
もともとのポテンシャルに加えて、高倉監督が重要視しているのは大会中の成長幅だ。高倉監督が日々組んでいるトレーニングメニューは雄弁だ。意図が明確なため、それを理解してこなすことで次戦への修正が可能となり、そこで高いパフォーマンスを見せれば、出場のチャンスは一気に高まる。現にここまで、フィールドプレーヤーは全員が出場機会を与えられている。それも、目に見える"ターンオーバー"という形ではなく、である。
「誰が出ても遜色のないチーム」は、理想だが現実は難しい。このチームは比較的その"温度差"が小さい。だからこそ、控え選手たちが抜擢されても、新たなコンビネーションが生まれるという相乗効果が得られるのだろう。
準決勝の相手はフランス。ここまでで最大の難敵となる。おそらく、これまで以上に研究され、的確に日本を潰しにくるだろう。そんな封じ手を跳ねのけながら、自分たちのサッカーを貫けなくては、目標である"世界一"に挑戦する決勝の舞台に立つことは許されない。準々決勝での戦い以上のクオリティの高さを求められる。
必要なのは修正することだけでなく、修正後の新たな成長だ。一戦ごとに深みを増してくるヤングなでしこたちは、まだまだ完成形ではないはずだ。次なる準決勝の舞台では、さらなる伸びしろを見せてほしい。
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