毎試合ヒロインが生まれるヤングなでしこ。U-20W杯の準決勝へ (2ページ目)
守備がハマってきた分、攻撃にもスピードが出てくるが、ブラジルも日本対策として中盤と前線、中でも籾木結花(日テレ・ベレーザ)には厳しいチェックで動きを封じようとする。そんななかで、ほぼ自由にプレーできていたのが守屋だった。サイドから中へ切り込み、チェックをかいくぐりながらゴール前へ流し込むパスは幾度となく、ゴールを匂わせた。ところが前半ロスタイムに守屋がやってのけたのは、アシストではなく、待望の先制点をたたき出す大役だった。
この先制点、長谷川のスイッチから守屋のフィニッシュまで関わるすべての選手に一切の無駄がない。DF2枚の間をタテに通した長谷川のスイッチパスは、受ける籾木のスピードを十分に考慮しており、その籾木はすでに中に走り込んでくる上野真実(愛媛FC)の気配を感じていた。ニアでつぶれる形になった上野の動きにブラジルDF陣がつられて、ゴール前はスペースだらけだった。守屋は、そこにこれ以上ない絶好のタイミングで走りこんでいたからこそ、こぼれ球に反応できたのだ。
たとえ守屋のシュートがDFにブロックされたとしても、スイッチを入れた直後、中央に寄せていた長谷川の周りにはマークがおらず、とどめを刺せる状況は整っていた。
第3の動きがあれば格段に得点率が上がると言われるなでしこジャパンの攻撃だが、この得点に関しては第4、第5の動きまで完備されていたことになる。なかなかゴールを割ることができない45分間を耐えた先にあった、生まれるべくして生まれた先制点だった。
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