元なでしこ・永里亜紗乃が語る「引退した今だから伝えられること」 (6ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 経験があるからこそ、自分自身で発信していきたいのだという。今、亜紗乃にはその先に見据えているものがある。

「なでしこジャパンを圧倒的な勝利で世界一にしたい。海外に出て思ったんですけど、日本人ほど繊細な人はいないし、努力をするのも、人と助け合うっていうのも日本人のいいところ。どうしてチームスポーツなのに日本人が勝てないのかもどかしくて......。そのためにはなでしこリーグをもっと魅力的なものにしなければならないし、いろんなことを発信していきたいです」

 サッカー漬けだった現役生活を終えて、これから歩き出す世界にもサッカーが溢れている。あえて聞いてみた。"あなたにとってサッカーとは?"――

「人見知りだった私にとってサッカーはコミュニケーションツール。サッカーって世界を救えると思いません? ボールひとつあればどこでも蹴れるし、みんなが笑顔になる。言葉がわからなくてもボールでコミュニケーションが取れるから世界をひとつにできるんじゃないかって。そんな風にサッカーをしていきたい。"世界"を視野に入れています(笑)」

 サッカーは世界共通語ですから――そう言って笑う彼女に、もう迷いはなかった。天才的であり、天然的であり、そして一般的。不思議なバランス感覚を持った選手だった。それが彼女の最大の魅力。その持ち味は変わらず、必ずセカンドキャリアでも生かされていくはずだ。

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