なでしこの裏で連勝のU-23。発揮された高倉麻子監督の手腕 (2ページ目)
自らも日本代表の中盤としてプレーした高倉監督は、選手としてもその"感覚"を理解している。世界一に輝いたU-17女子W杯では、6試合で21人全員を起用し、経験も積ませた。結果、6試合で23得点1失点。21人中19人が先発に名を連ね、DF4人を含む12人がゴールを決めた。
緻密で、美しく、強い――。世界を制したなでしこジャパンのDNAは、確実に次の世代に継承されている。
その連動性は、どのようなトレーニングによって生み出されるのだろうか。高倉監督の指導には、選手たちをピッチで躍動させる様々なエッセンスが詰まっていた。
「常に考えながらプレーすることを伝えています。その中で駆け引きの要素も学んでほしいので、普通の練習メニューにも特別ルールを設けたり、遊びの要素を取り入れるようにしています」
複数色のビブスを使い分けたミニゲームやチーム対抗戦など、「常に回りに目を配る技術」を養うメニューはバラエティに富む。その引き出しの多さは、幼児からママさんチームまでの幅広い年代を指導してきた経験が生かされている。紅白戦では、ポジショニングや動き出しのタイミングを数センチ単位で修正し、パスやトラップなど、スキルの"精度"にも徹底してこだわりを見せる。
「フィジカルで勝負しないための準備」を重視しているが、試合の中で1対1の競り合いを完璧に避けることは難しい。そのため、一瞬で爆発的なパワーを出すための体作りのメニューも取り入れている。気の抜けたプレーをすれば、すぐに大部由美ヘッドコーチが喝を入れる。U-17女子W杯を共に戦った大部コーチもまた、高倉監督のチームに欠かせない存在だ。
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