アジア2次予選レベルに埋没。この勝利を喜ぶ日本代表に成長はない (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 長田洋平/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

 あまり喜ぶと格好悪い。それは武藤のポストプレーを受けて、2点目のゴールを決めた本田についても言えた。かつてなら、格下相手にゴールを決めても、ここで大喜びするのは格好悪いと感情を抑えた行動に出る、中田英寿ばりの気位の高さを見せた本田。しかしこの前半26分のシーンでは、こみ上げる何かを隠しきれないといった初々しい表情を見せた。本当に嬉しかったのだとすれば、大丈夫かと言いたくなる。

 試合はここから、後半42分に3点目のゴールを吉田麻也が決めるまで、60分間以上、音無しになる。日本は攻めてはいた。惜しいシーンもあった。だが、テンポは落ちていた。2-0というスコアに甘んじたサッカーをしてしまった。

 ホームのシンガポール戦は0-0の引き分け。これは、あってはならないことが起きた日本サッカー史に残る汚点といっても言い過ぎではない。それこそ気位が高いチームなら、そのリターンマッチでは、汚点を晴らすべく相手を血祭りに上げようとするだろう。

 だが、1点取って大喜び。2点取って大喜び。そしてそこから60分も沈黙した。第1戦と同じような姿をさらけ出した。後半の中頃、本田はミドルシュートを放つも、相手のGKにセーブされた。惜しいシーンであることは確かだ。しかしかつての本田なら、置きにいくようなシュートではなく、もっと強烈なキックを放つことができていたはずだ。

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