日本の攻撃を変えた「間」。柏木陽介が「ポスト遠藤」たるゆえん
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督就任以来、「縦に速く」を求める指揮官の薬が効き過ぎたのか、このところの日本代表の攻撃はどこか単調で余裕が失われていた。
しかし、この試合だけは少しばかり様子が違っていた。
11月12日、W杯アジア2次予選のシンガポール戦。スコアだけを見れば3-0と、日本代表は3ゴールしか奪うことができなかったが、緩急をつけたリズムの変化、それによって生まれる攻撃の多彩さといった点において、過去の試合とは一線を画していた。
「緊張することなく、ナチュラルに今の代表に紛れ込めたかな。(試合前から)いいイメージを持っていたし、やれる自信のほうが大きかった」
そう語り、自らの役割を少なからず果たせたことに胸を張るのは、MF柏木陽介だ。
日本代表の攻撃に新たなリズムをもたらした柏木陽介 柏木にとっては、2012年2月のアイスランド戦以来となる日本代表での先発出場。当然、ハリルホジッチ政権下では初の先発出場だったが、柏木は普段どおり、いや、むしろ普段以上に落ち着いた様子で、生き生きと日本代表の攻撃を組み立てていた。柏木が語る。
「相手を寄せるパスと裏に出すパスとサイドに散らすパスっていうのは、自分の中でうまく選んでプレーできたかなっていうのはあるし、ちょっとバタバタしたときには落ち着かせることもできた。あとは(攻撃から守備へ)切り替えてボールを奪いに行くこともできていたし、球際も勝っていたんじゃないかなと思う」
そして、こう続けた。
「久しぶりの代表で(ハリルホジッチ監督になって)初めてスタメンで出たにしては、自分の中では出来はよかったかな」
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