掟破りのメンバー選考に見る、ハリルJの「泣きどころ」

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の悩みの大きさがうかがえる選手選考だった。

 11月5日、W杯アジア2次予選(11月12日vsシンガポール、11月17日vsカンボジア)に向けての日本代表メンバーが発表された。

 ハリルホジッチ監督が就任して以来、日本代表のメンバー発表はGKから順に、監督自らがひとりひとり名前を読み上げ、それぞれの選手について(多少の差こそあれ)選考の理由や期待する点などについて説明するのが恒例となっている。

 この日もまた、ハリルホジッチ監督はいつものように饒舌(じょうぜつ)に話していたが、DF酒井宏樹(ハノーファー/ドイツ)のところでこう付け加えた。

「今回初めて、右サイド(バック)はひとりしか選んでいない」

 これまでハリルホジッチ監督が選ぶ日本代表メンバーは、フィールドプレーヤーに関しては各ポジションふたりずつを基本とした20人が選ばれてきた。つまり、DF8人、MF6人、FW6人がポジション別の基本的な配分だった。

 ところが、今回は「(従来どおりの)8人ではなく、7人のDFを選んだ。その分、FWを7人選んでいる」とハリルホジッチ監督は語る。

 言うまでもなく、得点力不足に悩む日本代表にとって、救世主たりうるFW探しは緊急課題である。実際、ハリルホジッチ監督は以前のメンバー発表の際に、「もっと有能なFWが必要だ」と話している。指揮官にしてみれば、問題解決のためには限られた機会でひとりでも多くのFWを見たいというところだろう。

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