ドルトムントで絶好調の香川真司が、日本代表で輝けない理由 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

「実質3トップ」と香川が呼ぶ、ロイス、オーバメヤン、ミキタリアンの3枚を生かす中で、自分が使われることも考えられる。意外な視野の広さも再発見できた。指揮官の采配は香川を得点への呪縛から解き放ち、自由をもたらし、楽にした。「得点したい」という意味で「結果を」と連呼することが最近ではなくなった。

 だが、日本代表でははっきりとした4-2-3-1のトップ下だ。前に飛び出し、アシスト、もしくは得点することが最優先課題である。「ドルトムントとここでは求められていることが違う。もっと攻撃的に前へ行くこと」をハリルホジッチからも求められた。だが、ゴールに近い位置にいれば得点が決まるというものでもない。

 カンボジア戦、香川にも前半からチャンスは多くあったが決められなかった。40分にはエリア内やや左からドリブル、シュートに持ち込むが、これはGKの正面へ。ボールは岡崎の目の前にこぼれたが、シュートは枠の外へ外れた。42分には「必ず決めなきゃいけないチャンス」と自ら振り返る決定的なシーンを外した。ゴール前で左の武藤からラストパス。これをシュートとも折り返しともつかない中途半端なプレーで、GKに防がれてしまった。

「自分が慎重にいき過ぎて、硬くなっていたと思うんですけど、あってはいけないミス」と、香川は厳しい表情だった。トップ下で得点に固執し、ゴール前で硬くなってミスをするのは、今までと同じパターンだ。

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